ベルが、シャアラのハンカチの切れ端を怪我をしたメノリの指先にくるくると包帯のように巻きつけてゆくのを、皆は感心したような目で見ていた。
その後。
「シャアラー、ナイフで指切っちゃったー」
「ごめん、シャアラ。釣り針を刺しちゃったよ」
「すまない、シャアラ。指にトゲを刺してしまった」
「シャアラ、滑って転んだぞ。ハンカチよこせよ」
旬日を経ずしてシャアラのハンカチはこの世から消滅した。