1クリック劇場 #01「一緒」

一緒

 早く目が覚めた朝。
 ベッドを抜け出したルナはチャコと並んで、みんなの家のリビングで朝日が昇るのを待っていた。
「こんなことになるなんて、チャコ、ついてこない方がよかったんじゃない?」
「そんなことあらへん。ペットはご主人様と一緒にいるのが一番いいに決まっとる」
「あーあ、私の家、今どうなってるのかなあ」
「せやなあ。家賃滞納で差し押さえくらってるかもしれんなあ」
「ええーッ!? 家賃滞納? じゃあ電気や水道も?」
「かもしれんな」
「不可抗力じゃない……。私のせいじゃないわよ」
「うちが恐れとんのはな、ルナ」
「?」
「ルナ、おまえさん、旅行明けにラクするんや言って、珍しく保存食ぎょーさん作って冷凍庫にぶちこんどいたやろ」
「う、うん……。スーパーでいろいろ安売りしてたから、ちょっとでも食費浮かそうと思って」
「電気が止められとるとなると、アレが全部冷凍庫の中で溶けだしてる恐れがある」
「う……」
「凄いことになっとるやろな」
「それ以上聞きたくない……。あ、レンタル返すの忘れてたー。帰ったら返せばいいと思ってた……。延滞料、どうなってるんだろう」
「ここにきてもう二ヶ月はたっとるで」
「……ま、いっかあー。いざとなったらトンズラすればいいだけだし」
「せやな。コレが初めてのことでもないしなあ」
「よーし、今日も頑張るぞう!」
「せやせやーっ」
 朝日に向かって、雄叫びを上げるルナであった。

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