1クリック劇場 #04「勉強」

勉強

 メノリのヴァイオリン騒動のあった翌日、アダムを連れたルナはチャコを呼び止めた。
「チャコ、今日も人手が足りないからアダムの面倒をみてくれる?」
「うちがか?」
「やっぱりハワードだと何かと問題が多いみたいだし」
「そらそうやろな。データの分析もあるし、たいしたことはでけへんと思うけど、それでも構へんのか?」
「うん、遠くに行ったりしないように気をつけてさえいてくれればいいから」
「ふーん。ま、ええで。こっちゃ来いや、アダム」
「お願いね。アダム、今日はチャコのそばにいてね?」

「メノリー」
 夕方。一日の作業を終えてみんなの家にもどってきたメノリは、アダムに袖を引かれ相好を崩した。言葉を覚えかけで舌っ足らずな様子が殊更に可愛い。
「何だ? アダム」
「メノリ、バイオリン弾いてや。うち、メノリのバイオリン、めっちゃ好きなんや。いいやろ? なーなー」

 チャコがメノリからアダム接触禁止を言い渡されたことはいうまでもない。

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