1クリック劇場 #05「逆」

「しかしルナの言うことにも一理ある」
 と、メノリは言った。隔離ルームでのことである。
「初めから喧嘩腰でかかっていったのでは、まとまる話もこじれてしまうだろう。我々にとっては宇宙船を手に入れることが最優先なのだからな。そこで私に案がある。現地の言葉で挨拶する、というのが友好的な気持ちを伝えるのに効果的だそうだ」
「そうなの?」
「ああ。リーダシップマニュアルに書いてあった」
 タコを掴まえて現地語の習得に励んでいるメノリを見ながら、ルナは一人首を傾げた。
「でもサヴァイヴの言葉って何か違うような気がしたけど……」


 この星を統べるメインコンピュータ・サヴァイヴに対峙したメノリは重々しく言った。
「ワチニンコ」


 ――その日、ドローンの追撃はことのほか激しく、カオルが撃墜したドローンは10を越えたという。

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