通常、取ってきた食糧のチェックはチャコが行う。ベルの知識に頼る時もある。しかし生憎と二人は遺跡調査で不在。その日、洞窟にいたのは私・メノリとシャアラ、ハワードにカオルの四人だけだった。
私は洞窟の隅、一番下の薪に生えたキノコを前にしばらく考えた。
食糧は尽きかけている。扉の向こうは激しい吹雪で、外に出ることさえままならない。キノコは小振りで色も地味。毒があるようには見えない。
私はそれを鍋に入れた。
ハワードとカオルの椀だけにそれを盛ったのは、男子の方がより多くの食事を必要としていると思ったからだ。決して他意はない。
その後、ハワードは「太陽サイコー」などとハイテンションな言動がみられたが、ヤツがおかしいのはいつものことだ。気にすることもあるまい。
だが。
翌日から、カオルが笑顔全開になっていた。
……どうしよう。やはりアレのせいだろうか。