1クリック劇場 #10「未知」

未知

 通常、取ってきた食糧のチェックはチャコが行う。ベルの知識に頼る時もある。しかし生憎と二人は遺跡調査で不在。その日、洞窟にいたのは私・メノリとシャアラ、ハワードにカオルの四人だけだった。

 私は洞窟の隅、一番下の薪に生えたキノコを前にしばらく考えた。
 食糧は尽きかけている。扉の向こうは激しい吹雪で、外に出ることさえままならない。キノコは小振りで色も地味。毒があるようには見えない。
 私はそれを鍋に入れた。

 ハワードとカオルの椀だけにそれを盛ったのは、男子の方がより多くの食事を必要としていると思ったからだ。決して他意はない。

 その後、ハワードは「太陽サイコー」などとハイテンションな言動がみられたが、ヤツがおかしいのはいつものことだ。気にすることもあるまい。

 だが。
 翌日から、カオルが笑顔全開になっていた。

 ……どうしよう。やはりアレのせいだろうか。

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