1クリック劇場 #06「発見」

発見

 ようやく新しい家も完成の目処がつき、今晩からは大いなる木の上で休もうと決まった日。
 皆が食糧集めに出た中、一足先に男子部屋のベッドに寝ころびサボリを決め込んでいたハワードは、視界に妙なものが映るのを覚えて上体を起こした。
 窓から何かが中に入り込もうとしていた。ハワードにはそれに見覚えがあった。シャアラがパグゥとか名づけた巨大な生き物の舌だ。それはゆるゆると震えながら、ハワードの方に近づいてくる。
「パ……、パパァァァァァ!!」

「迂闊だったな」
 メノリが言った。
「ベッドのクッション代わりに敷き詰めた大いなる木の葉がパグゥを呼んでしまうとはな」
「大いなる木の葉っぱはパグゥの大好物だものね」
「明日早速違うものと取り替えよう」
「そうね。柵ももっと丈夫なものにしないと」
「夜が明けたらシャトルの材料で使えるものがないか見てくるよ」
 口々に今後の相談をする仲間に、ようやく元気を取り戻してきたハワードが恨みがましい声を浴びせた。
「おい、お前ら、僕の心配はしないのかよ! あの変な生き物に襲われたんだぞ!」
「顔舐められたぐらいで、何大袈裟なことゆーてんのや。だいたい何や、皆が食糧探ししとる時にサボリくさって」
「とにかく! 僕はもうこんなベッドじゃ寝ないからな!」
「勝手にしたらええわ。お前みたいな奴には床がお似合いや」

 血を見る前にルナが仲裁に入り、こうしてハワード専用ハンモックが誕生したのだった。
 ちなみにハンモックを獲得してご満悦のハワードを見た誰かが「馬鹿と煙は高いところへ上がりたがる」と呟いたのはまた別の話。

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