――泣いているかと思ったんだ。
森の中、一人で立ちつくす君の肩が震えていたので。
いつも強気な君の、思いがけない後ろ姿に、声をかけられなくて。
言いたいことはいくつもあったけど、どれも言葉にならなくて。
君は、こみあげてくる何かをこらえるように頭を上げ、
そして。
「ぶえっくしょいっっっっ」
「あーすっきりした。何や、シンゴ、何ぞうちに用か?」 「……ううん」