1クリック劇場5 #01「あれは何でしょうか。」

あれは何でしょうか。

 宇宙船で重力嵐に立ち向かうことになったルナ他一同。早急に宇宙船のクルーとしての知識を身につける必要があった。
 そこで、
「担当する系統が同じ者同士で教え合った方が効率がいいね」
 という尤も至極なシンゴの提案と、
「ほんならシンゴとベルは動力系担当で一緒やな。ルナとメノリは航法関係でうちと一緒や。バッチリ教えたるから任しとき」
 というチャコの班分けにより、カオルに面倒をみてもらうことになったハワードだったが。
「まず計器の見方を教える。時間がない。なるべく一回で覚えてくれ」
「任せとけって。僕の頭脳にかかればこんなの朝飯前さ」
 お気楽に胸を張ったものの、
「一通り教えたらテストする。お手つきは2回まで」
 カオルの言葉と共にふわりと浮かび上がったドローンにレーザーの銃口を向けられ、彼の顔色は一気に青ざめた。
「な、何だよソレ」
「緊張感があった方が覚えやすいだろう? 大丈夫だ、致命傷にはならないようにセッティングしてある」
「そういう問題じゃない! おいカオル、冗談だろ?」
「冗談だ」
「……脅かすなよ」
 一気に脱力した肩を後ろから抱き込むようにしてカオルがハワードの顔を覗き込む。
「ハワード、今回のミッションではどんなアクシデントが起こるか判らない。しっかり頼むぞ」
 ポンと肩を叩かれ、今だけは、タコと一緒に発声練習をしているシャアラが心底羨ましいハワードなのであった。

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