ガツガツと焼き魚を頬張っていたカオルは、「カンパーイ」というはしゃいだ声に目線を上げた。
住居が完成したのが余程嬉しいのか、ルナがメノリを巻き込んでハワードと祝杯をあげている。
ルナは、ハワードに多大な迷惑をかけられたことをあっさり忘れ去ったらしい。切り替えの早いことだ。あの少女は、思ったより大人物かもしれない……。
まあ、そんなことはどうでもいい。
問題はハワードだ。
泥まみれになったとかで、衣服をすべて洗濯されてしまったハワードが身に纏っているのは、腰みのもどきが一つきり。それも大き目の木の葉を適当に綴り合わせた粗末な代物で、つまり、女子達は気づいていないようだが、動くと見えるのだ。いろいろと。
そのことを指摘しようとしたカオルだったが、結局何も言わないまま口を閉じた。
ムダに騒いでも仕方がない。
気が向いたら、さっさと焚き火で服を乾かせとでも言ってやることにして、カオルは再び食事に専念するべく串を持ち直した。