言いたくはないが。
ハワードの無事を見届けてからカオルは操縦室に戻った。
槍を作った。 ナイフも作った。 釣り針も作った。 毛針も作った。 仕掛けを作って、手間を掛けずに多くの魚を捕れるようにもした。 槍を片手に冬の海にも出動した。 言いたくはないが、皆の食生活を底辺で支えてきたつもりだ。
だが。 ここ一番という時のインパクトでは、どうも負けているような気がする。 ――ハワードに。
操縦席でじっと己が手を見つめるカオルであった。