鯖の佃煮

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#41 「だから行かなくちゃ」

 「今、アダムの病気を治せるものがあるとしたら、あの施設の中だけよ。だから行かなくちゃ」――ルナ

 都市の廃墟発見、サブ・テラフォーミングマシン到達、カオル大ジャンプの巻。

 前回の恋愛騒動などなかったかのような回想シーンで幕開け。

 アダムのナノマシンの中に入り込んだ別種のナノマシンを停止させる手がかりを掴むべく、最寄りのテラフォーミングマシンへと向かうことを決めた一同。
 この進路変更といい、廃墟探索、ルナ護衛といい、みんなカオルの提案で仕切りまくりですな。ルナはアダムのことで手一杯状態なんで、リーダーシップを発揮してくれる人がいるのはありがたいのですが、新しい人が台頭してくるとキャラが被ってる人が霞んでしまうのが道理。それだけに、カオルがテラフォーミングマシン行きを言い出した時に、メノリのカンが鈍っていたのが残念です。ここは是非メノリ様に進路変更の意義を説明してほしかったところ。(実際にはベルの役まわり)
 それにしてもプロジェクター状態のチャコは何遍見ても怖いです。
 ところで、額に濡れタオルを乗せる場合、髪の毛は上げてあげた方がよいのではないでしょうか。(結構他の漫画とかでも髪の毛の上にベタ置きしてるの見るんですけど……、そういうもん?)

 で、日の出と共に勇壮なBGMに乗って発進するオリオン号。重力制御ユニット等、大がかりな装置なのにすべて操縦席まわりでコントロールできるんですね。さすがの未来技術だ。
 直線的に地上を進むより、ある程度川沿いを行った方が進路も開けているし結果的には時間の短縮になるのでは……と思っていたのですが、そう起伏の激しい地形ではなかったらしいのと風があったのとで順調に前進。
 そして、森、門、廃墟を発見。
 木々が茂っている地帯なのにずいぶん滑らかに進めるなーと、首をかしげていたら、かつての門へと至る道がまだ残っていたのですな。完全な森林化は避けられていた模様。

 病院跡らしき建造物に入る前に口々に散々ハワードを脅していた割には、すたすたとその中に入っていくその他のメンツ。みんな、そのくらいの危険は了承済みなのねん。
 そして、お約束通り骨格標本に抱きつかれあられもない悲鳴を上げるハワード。こっそり標本にはツノらしきものがあったのですが、それには気づかなかったか、誰も言及せず。みんな、ハワードの方に目が行ってましたからね。うわ、一番最初にハワどんが海に落ちた時にメノリが見せた表情と勝るとも劣らないような憐れみをたたえた顔でカオルが見てますよ。しかし暗闇に紛れるとカオルは所在がさっぱり判らなくなりますな。懲りずに薬ビンらしき物に手を伸ばすハワード。埃を払う、この時の顔が無心な子供っぽくて滅茶苦茶カワイイです。
 さて、薬ビンには遺跡にあったものと同じ種類の文字が。ではやはりここはアダムの仲間が拓いた街なのか。では何故アダムは宇宙船にいたのか。謎は深まるばかり。
 と、その時怪しい足音が……。

 シャアラ。
 あなたの声は実に怪談向きだということが判りました。うっかりカオルに投槍されなくてよかったね。そして高熱の病人を放り出してこないように。しかし本当に逞しくなったもんだ。

 さして収穫も得られぬまま、改めてサブ・テラフォーミングマシンを目指す一同。
 行く手を遮るかのような、手のひら型のテラフォーミングマシンからは、指先にあたる部分から何かが放出されているようにも見えます。
 突如現れた球形ロボットによる攻撃。とりあえず瓦礫の陰に滑り込んだオリオン号――って、それだけで攻撃中止ですか。瓦礫といっても崩れた建物の壁みたいな薄っぺらなもので、船の質量を隠せるだけの厚さがあるとも思えないのですが。絶対2射3射とくると思っただけに、安心すると言うより拍子抜けの感が。
 しかしまあ、オリオン号が被災しなくてよかったですよ。縁起の悪い人が操縦者ですけんのう。結構心配してましたよ。 二度あることは三度ある、とはよく言いますしねえ。
 ……そして船室外にいて腰が抜けたハワード、ベルに支えられて妖しい構図に。ひ、ひえー。

 アダムと同じナノマシンを体内に持つルナ。それだけアダムと通じ合って彼の危険を自分のことのように感じるせいか、テラフォーミングマシンに行くと言ってききません。この時カオルが、あくまで船外の様子を伺いつつ「また無茶なこと言いやがって」とでも言いたげな顔でルナを見てるのが妙に印象的でした。
 とーこーろーでー、ベルが同行を申し出た時は即却下で、カオルが囮になると言った時はノーリアクションなのはどういう訳なんでしょうか>ルナさん。直接攻撃されそうな同行者より、囮の方がまだ危険度が低いとの判断からでしょうか。それともベルとカオルとの違いでしょうか。
 そしてカオルの囮発言に「そういうことならオレも協力する」と場違いなほど嬉しそうなベルさん、前回が前回なだけに勘ぐってしまいますが、その真意は果たして――?
 それはそうと「俺が囮になる作戦」がごく自然に「みんなで攪乱分担作戦」にスイッチしているあたり、微笑を禁じ得ません。皆、基本的に単独行動好きなカオルの行動パターンをメンバー内でうまく消化する方法を体得したようですね。
 当たり前のように囮メンツに混じっているメノリには本当に頭が下がります。漢だ。

 シンゴが危ない目にあいかけたりしましたが、各人の配置が済んだところで、もう一人のオットコマエ少女ルナも深呼吸をして度胸を決めます。(が……、初期のルナは弱点のない完璧少女で感情移入しにくかったのですが、最近のルナも急に大人びてしまったようで何か距離を感じてしまいますね。ちょっと淋しいです)
 害意はない、仲間のために薬を探しているだけ、と訴えるルナは明るい紫色のオーラ。対するコンピュータは冷たい青のオーラ。「人間は必要ない」と、考慮する余地すらないと言わんばかりに冷酷に告げるコンピュータ。短い台詞ですが、ものすごい存在感です(cv.大木民夫)
 ここで、EDでのクレジットが「コンピュータ」ではなく、「コンピュータの声」となっているのがなーんか気にかかるのですが。あれは、コンピュータ自身(というか機械知性)の発言ではなく、機械音声を操る他の誰かが更に奥に控えてるってことなんでしょうか。……気にしすぎ?

 ……で。
 交渉はあっさり決裂、ルナはロボットの攻撃に晒されます。ベルの掩護のもと(画面いっぱいに叫ぶベルの口が広がって、一体何事かと思いましたよ)撤退するルナ、ハワどん渾身のベロベロバーとか、いろいろあって、ヒーロー登場です。

 球体ロボットに駆け寄りつつ、目にもとまらぬ早業で石を2コ拾い上げ、最初の一投で機械の注意をそらしつつ回り込んで投げたもう一つの石で、機械の回転を狂わせる。
 すかさず気合い一発、大ジャンプ。
 隠し持った黒曜石のナイフをロボットの内部に突き立て、機械を完全破壊。
 飛び降りた背後で上がる閃光。
 爆風に揺れる髪――

 格好いいです。
 きまってます。
 が、それ故に腹の底から笑いがこみあげてくるというこの状況をいったいどうすれば。
 第1話でいきなり身長の倍はありそうな学校の塀を軽々と空中一回転で飛び越えた少年は、サヴァイヴ食料班のエースとして、山野を踏破しトビハネを追いかける生活を送るうち、今や10メートルを軽くクリアする跳躍力を身につけていたのでした……ってマジデスカ。

 いや、ホントすげーですカオル君。えらい。茶化してすまんかった。誰も君の真似はできません。

 んでやっぱ、スルーなのね? 夜なべして作った釣り針を「そんなことより」であっさり話題を変えられて以来の伝統なのね?
 君ら、ルナの心配をする暇はあってもカオルをかまう暇はないというのですか?
 ロボット破壊行動は絶対カオルの独断だったと思うんですが(だってそんな話聞いたら止めるよフツー)、無謀な行動を諫めるなり、結果を重視して感謝するなり、何らかのリアクションを起こしてしかるべきではないのですか。ハワードの「やったぜ、いいぞカオルー」だけで済まされると思っているのですか。
 カオルが平然とした顔で荒行こなすから、あんまりみんなピンとこないのかなあ。いつもかなり難易度高いことしてると思うんですが。カオル自身は明らかに突出した自分の身体能力をどう思ってるんでしょうね。

 お話そのものは、ルナから「人間は必要ない」という言葉を聞いて、皆シリアスモードに……というところで来週へ。
 次回はサブ・テラフォーミングマシンの中に突入、コンピュータとの接触もあるようで、いろいろな謎の一部は解明されそうです。くれぐれも高校野球が伸びませんように。

 
最終更新: 2004/08/30
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