鯖の佃煮

prev / next

#42 「不思議な力」

 「おまえは何か不思議な力を使うな」――メインコンピュータ・サヴァイヴ

 一同、コンピュータの説教を聞くの巻。

 高校野球中継が7時で終わったので無事通常放送。
 冒頭、前回のダイジェスト版を見ながら、やっぱりカオルの気前の良すぎる飛びっぷりに忍び笑い。格好いいのに笑わせるのって凄いよ。ウエストに挟んだナイフを引き抜くあたりが微妙に素朴でステキです。

 そんなこんなで本編突入。

 アダムの治療に役立ちそうなものを探しに、サブ・テラフォーミングマシンの中に入る一同。ハワードやシンゴは得体の知れない機械が相手ということで不安そうですが、むしろルナは留守番役のシャアラに励ましの言葉を。わざわざ肩に手まで置いて、あれは言外に「今度はアダムを置き去りにしてついてきちゃダメよ」という念押しでしょうか。

 エントランスホールを経由して、ルナの発見した入口から環境制御ルームと思しき部屋へ。
 と、物々しい足音が聞こえて緊張する一同。すかさず皆をかばって前に出るカオル。逆手に握ったナイフの構えも堂に入り、さすがサヴァイヴメンツ戦闘担当の第一人者です。
 脇の扉が開いて、姿を現したのはずんぐりした緑色のロボットでした。何というか、やはりカブトムシちっくです。創造主に似せてデザインするとなるとやはりあのツノ様のものも必須要素なんですかねえ。一応センサー等の用途を果たしているのでしょうか。
 で、ルナが意思の疎通をはかろうとするものの、ロボットは問答無用で攻撃をしかけてきます――が、ここはカオルの反撃とベルの助勢で相手の動きを止めることに成功。
 相変わらずオニのように強いです、カオル。今回は壁を蹴って飛ぶという技を披露してくれました。にしても、ちょいと好戦的じゃありませんか、お兄さん。2発もレーザーだかビームだかで狙われたので反攻に出るには十分かもしれませんが、で、多分ロボットが3発目を打とうとしていたからだと思うんですが、あんまり一人突出して相手に向かっていくと、そのうち大怪我しそうで今後が心配ですよ。まあ、「ありえねー」というほどの強さで敵を撃破してくれるんで、笑えてしまうんですが。
 あと、久々にベルが触手攻撃の餌食に。ハワードもシンゴも加勢してやんなさいよ。

 ともかくも倒れたロボット。しかしまだ機能は生きていて、ルナに呼びかけてきます。
 そして、その声の主は「この星すべてのテラフォーミングマシンを管理するメインコンピュータ、サヴァイヴだ」と名乗ったのでした。
 まったく予期せぬところでのタイトルコール。
 「無人惑星でサヴァイヴ」なのではなく「サヴァイヴが無人にした惑星」ないし「無人惑星のサヴァイヴ」だったとは。なんで英語なんだ、現地語ではどういう意味なんだ、というのは置いておくとしても、こりゃ一本取られましたわ。

 さて、声のいうところの「不思議な力」というのは、ベルが緑色ロボットに危害を加えられそうになった時に、ルナがそれを止めさせようと紫色のオーラを発揮したことを指すようです。
 どうやら、遺跡のメンテナンスロボットを操ってルナ達を攻撃させていたサヴァイヴは、ナノマシンを介して発動したルナの力を感知、更に強力な指令を発して攻撃を続行させた模様。(結構えげつない攻撃でしたな。あれ放っといたら、ベルはどうなってたんだろう)
 ですが、今までサヴァイヴがそんな力を知らなかったということは、アダムの親達は体内のナノマシンを通してロボット(の中のナノプラント)に干渉はできなかったということで、ヤシガニーを操れちゃったりするアダムやルナにあるナノマシンは旧世代の上位機種にあたるものなんでしょうかね? それともサヴァイヴはルナの中にまた別の力を知覚したのでしょうか。その場合は、この星のナノマシンが異星人であるルナに作用して特殊な力が生まれた、或いはルナが生来持っていた特殊な力がナノマシンによって外界に干渉できるようになった……などとも考えられますが、ともかくアダムはオリオン号でダウン中であり比較対照することができないので、その謎についての追究はお預けです。実際、サブタイトルになっている割に、そのあたりのことはさらりと流されてしまってましたしねえ。

 それはさておき、一同は、
    講師:メインコンピュータ・サヴァイヴ
    演題:「人間はみな死ぬ運命にある」
    通訳:ルナ
 で、この星の歴史を学ぶことに。
 繁栄をきわめていたこの星の人々を襲った環境の変化、人々が選択した行動、コンピュータが叛乱を起こすに至った経緯などがルナの語りで述べられる訳ですが……、ちょーっと古くささを感じさせる題材であることは否めませんな。もっとも、ウィルスタイプのナノマシンを散布して人々を殺害するという暴挙に出たサヴァイヴですが、いささか詭弁くさくも「(環境を元に戻せと言う)指示を出され、それを遂行しているにすぎない」と言っているので、コンピュータが自意識に目覚めて人間に造反した……ということではなさそうです。あくまで主題は、人間の存在とその影響、というところにあるようで、ああ、Kiroroの歌うOP曲を聞いた時からいつか来るだろうと思っていた環境問題ネタが今ここに、という感じです。

 ここでロボットが爆発の兆しを見せ、慌てて環境制御ルームから避難することになる訳ですが、進む時は先頭で退く時はしんがりで、君は本当にエライです>カオル君
 増大する一方のカオルの戦闘能力についても何らかの理由が用意されているはず……と信じているのですが(あれじゃコロニーに帰れてもちゃんと順応できなかったら、ただの危険人物だよ)、元々の性能、じゃなかった、生まれつきの能力である、でサクッと片付けられてしまったらどうしましょう。

 環境破壊の根本原因は人間であると結論し、その原因を排除しようとしたサヴァイヴの言葉と行動にショックを受けたルナ達は、焼けこげた環境制御ルームに戻りますが、もうサヴァイヴの声は届きません。途方に暮れる一同。シンゴの言葉を口火に討論会がスタートしてしまいます。ここでシンゴから……というのが印象的ですね。メカ大好きで、しかもかつてコロニーで暮らしていた頃、個人の趣味のために自分勝手な判断で化石燃料を使っていたシンゴには、サヴァイヴの言葉は相当耳に痛かったんじゃないでしょうか。
 期せずしてV字型に並んでそれぞれの意見を述べる7人と1匹。まるで学園祭か何かでお芝居してるみたいです。
 以前、食べるためにトビハネを殺した時は、早々に「生きるためには仕方ない」で大方の意見の一致を見て、あまり「他者の命を糧にして生きる価値」については論じられませんでしたが(まあ、あの時は何より実際腹が減っていたからでしょうが)、大なり小なり他者の死の上に成り立っている世界で、食物連鎖の輪から外れて強大な力を持ってしまった人間の行為の是非についてはさすがに当の人間の立場からは判断がしにくいと見えて、意見が割れます。
 ……でもさあ、ショックを受けたのは判るけど、この星に定住することに決めたならともかく、この星の人々が滅ぼされたのは基本的に他人事なんだからそんなに深刻に思い悩むことはないんじゃないスかね……と思ってしまったのは内緒です。ついでにいうと、この件を考えていたらどこからともなく、かつて赤い彗星と呼ばれし総帥の言葉が聞こえてきたような気がしたのもヒミツです。

 簡単には答えを出すことができない問題に、一同はアダムの治療を優先することに。(というかそのためにこの遺跡に足を踏み入れたのです)
 ウィルスナノマシン製造のための部屋を発見し、そこで、システムの解読・ウィルスナノマシンの機能停止・悪性ナノの良性ナノへの機能転換……と、えらい高性能ぶりを発揮するチャコ。あなた、機能がどんどん進化してませんか。メモリーも限度がないみたいだし、もしかして内蔵されているのは生体脳とかいうんじゃあるまいな。

 やっと熱も下がって一安心、地球人類的にはどうみても死にそうな顔色ですやすやと寝息を立てているアダムくん(年齢不詳)を乗せて、オリオン号はコロニーに戻る手がかりを求め一路メインコンピュータを目指します。
 メインコンピュータと宇宙船が一体化しているので、この星を脱出するにはどうにも、説得論破懐柔するなり再プログラミングするなり物理的にどうにかするなり、あのサヴァイヴ先生を何とかしないとどうにもならないのですが、……ルナ達はどうするつもりなんでしょうね。
 まさか、惑星外の全人類まで殲滅しなくては、なんてことはさすがのサヴァイヴも考えてないだろうし、この星とは関わりのない漂着民であるルナ達だけだったら、割と簡単に手助けしてくれそうな気もしますが、アダムの存在があるので、サヴァイヴとルナ達の対立は避けられない予感が。この星の子供がいるということをアピールしたのが裏目に出てしまいそうですな。メインコンピュータの機能を停止させたり命令を変更したりするかどうか、というのは、この星の運命の基幹にかかわることなので、民間人の子供7人にとってはちょっと荷が重い判断のようにも思われますが、あれ、でも、宇宙船で脱出、となると結果的にサヴァイヴもお持ち帰りということになってしまうんで、つまり機能停止と同じことに? それはマズイですよね。新たに宇宙船を建造というのも考えにくいし、救難信号を発して人類の船に迎えに来て貰うとか、それとも宇宙に脱出したアダムの先祖たちと邂逅とかいう展開があるんでしょうか。うーむ。今後も予断を許さない展開が待ち受けていそうです。
 つか、その前に砂漠越えに砂嵐遭遇ですか……。
 やはりまだまだサヴァイヴァル生活が続きそうですね、ガンバレ。

 
最終更新: 2004/08/20
prev / next