鯖の佃煮

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#45 「お父さん! お母さん!」

 「お父さん! お母さん!」――アダム

 宇宙船進入、タコとの遭遇、強く生きろアルドゥラムギェットの巻。

 メインコンピュータを搭載した宇宙船の入口に辿り着いた一同。
 何でアダムきゅん、入口の文字が読めますか?(いつ習ったよ)とか、何でルナに入口開けさせる?(確かに今まであちこち開けてきて実績はあるけど、そろそろアダムにも自分ちの文明を体験させてあげようよ。つかお前がルナの名前を呼びたいだけと違うんか>カオル)とか、いろいろありますが、ともかく開いた扉から中にGO。
 それにしても扉が開くたびにいちいち眩しいことですな。これがこの星の流儀なのかしらん。

 「僕のお父さんとお母さんもこの中にいるかもしれないんだね?」と希望に顔を輝かせるアダム……なんですが、あのう、それってどういう意味で? 生前の2人を知る手がかりがあるかも、ってことならいいんですが、まさかまだご存命であるとか思ってないですよね? そのあたりのことはルナは教えてませんでしたっけ? まあ、気軽に触れられることではありませんが。裏切られると判っているアダムの笑顔がとても悲しく見えます。

 中に足を踏み入れたはいいものの、無機質な宇宙船の中は当然人の気配もなく、四方に通路が広がっていてどちらに進むべきかの見当もつきません。
 そこに早速、毎度毎度のドローンが登場。
 適当に逃げつつ皆を先行させ、単体ドローンを撃破するカオル。どこから石つぶてを出しましたか。何でもいいから対抗手段がないとヤベーってんで入る前に拾っておいたのかな。
 今回のはドローンの自滅くさかったですが、まさか前回のHoward's hand mirrorでの天井落下をヒントに球体に石を当てる角度を計算して投げた――ってことはないっすよね。だったらマジ凄い技倆ですが、さすがにあれは偶然か。
 しかしドローンって宇宙船の内部が傷つくこともお構いなしで攻撃を仕掛けてきますけど、サヴァイヴはそれしか頼るものがないんでしょうか。宇宙船内だったら自分の手足みたいなものでしょうに。隔壁を閉鎖するとか外敵の侵入に対応できるセキュリティシステムはいくらでもありそうなもんですけどねえ。まさか、まだルナ達に気づいてないとしたら、とんだノンキさんだ。

 さて、再びドローンに追われる一同。ルナが遠隔操作で突き当たりの扉を開けるとそこはエレベーター。チャコがボタンを押して降下します。が、着いた先にもドローンが。またも走って逃げる一同。ふた昔前の刑事ドラマ並に走りまくりです。それでも皆息一つ切らしてないのは、野生生活で鍛えられたせいでしょうか。
 慌てて逃げる一同の後ろから、騒ぎを聞きつけて頭をのぞかせた者がいました。今回初登場の、愉快な外見をした彼(?)は、侵入者の中にアダムの姿を確認すると一同を安全な場所に誘導しようとします。ネジ付き君、半歩間違えるとキモチワルイ方向に行ってしまいそうですが、動きや表情がいちいちユーモラスです。
 あまりに不審な姿に、声をかけられたサヴァイヴメンツは一度は新手の敵かと警戒しますが、彼がドローンに攻撃される様を見て“敵の敵は味方?”と思い直し、ドローンに追いつめられたこともあり、請われるまま彼の後についていくことに。
 この時、ルナは「ここはやっぱりこの子に賭けてみましょう」とおっしゃっとるんですが、“この子”? アダムみたいな外見ならともかく、あのネジ付き偽福禄寿をこの子と呼びますか、ルナさんよ。

 で、手招きされるままダストシュートを滑り降りる一同。
 ここで一番の見所は何といっても急傾斜にスカートを押さえて悲鳴を上げるメノりんですが、床にツメを立て火花を散らすチャコ、頭を抱えるシンゴもなかなか捨てがたいと思います。
 一番後に、身軽くドローンの光線をかわしつつ、きっちり入口のフタを閉めながら中に飛び込む(そしてキレイに着地)カオルは最早相変わらずといった塩梅で。

 ゴミ集積所から狭い通路を経て(ルナでさえギリギリっぽかったあの通路、どうやってベルは通ったんだろう)リフトに乗り更に下へ。ようやくメインコンピュータの目が届かないエリアに到着です。
 一息つく間もなく、案内人の素性を尋ねるメノリ。
 相手の逆さ言葉に業を煮やしたチャコが得意の指先ジャックインで言語変換を試みます。何とも言えない表情をする2体のロボット。やがてネジ付き君がけったいな声を上げはじめますが、あれは発声練習だと信じたい。……断じて喘ぎ声なんぞでは。ぎゃー。
 システムをチャコ語に変えてしまったネジ付き君、顔つきもチャコ風味に(かなり濃いです)。キャラが被るとややこしいわ、とチャコ。一発気合いを入れて微調整、何とか普通に会話が出来るようになりました。
 ツァルコンと名乗るネジ付き君。ツァルコン→ツァルコ→ツァコ→チャコと連想して再び渋い顔になるチャコ、強引に略称タコと命名します。タコの名が示す軟体動物以外の意味を感じてイヤな顔をするネジ付き君。異星のロボットなのに、チャコの言語システムを取り入れているためか、タコにまつわるニュアンスまで汲み取れるようになっているのが興味深いですね。
 にしても、あっさりシンゴは「名称:タコ」を承認。メノリに至っては早速ナチュラルにタコ呼ばわり。
 前々から思ってましたが、サヴァイヴメンツってネーミングにこだわりなさすぎ……。というか個別に認識できれば呼び名なんてなんでもいいと思ってるだろう、キミたち。

 そして――。
 アダム宛に両親からのメッセージがあると言う、ネジ付き君改めタコことツァルコン。
 いよいよ今回の核心のシーンです。(今回、笑っていいのかしんみりしていいのか、ギャップが激しすぎ)
 メッセージが再生されるとそこに現れたのはアダムの両親のホログラムでした。語り始める2人。
 その内容は#42でサヴァイヴが講演した内容の人間側からの語り直しと、アダムをコールドスリープさせるまでの経緯。
 誕生直後のサル似アダムとか、父親の背でお馬さんゴッコに興ずるアダムとか、かなり微妙な映像が続きますが、3才のお誕生日でケーキを前にしたカットはさすがに可愛かったですな。
 でも、彼らの服ってあの密着スーツ以外にないんだろうか……?
 途中、父親がさりげに「ウィルスナノ」と言ってましたが、チャコ語に変換されてるせいですかね。

 話の途中で、今までの数々の謎の答えも判明。
「コールドスリープカプセルに寝かせたあなたをサヴァイヴの手が届かない孤島に送ったわ。テラフォーミングマシンと、そして私達の想いをコピーしたコンピュータと一緒に」
 →それがアダムが眠っていた遺跡。
 (思念を機械にコピーするってどういう技術なんだろう)
「星の環境が元通りになった時は、私達の意志と一体になったコンピュータがあなたと共に生きてくれる人物を選んで、そしてあなたを目覚めさせてくれるでしょう」
 →選ばれたのはルナ。だからルナにナノマシンを送って、ことあるごとに呼びかけた。
 (シンゴの解釈「アダムと通じ合えるように選んだ人間(ルナ)にナノマシンを送り込んだ」でいくと、それはやはり「選ばれた証」的な特別なナノマシンってことなのかな。この星の人間なら普通にナノマシンを保有しているはずだし。しかしアダムの両親はアダムのパートナーが異星人でもオッケーなんでしょうか。いつどうやってどういう基準で人物選定を行ったのか、ナノマシンはいったいいつどうやって送り込まれたのか、そのあたりは不明なままですな。ナノマシン注入方法はあんまり突っ込まない方がいいのかな……。ヤバイことになりそうな気が。でもなあ……、選ばれた方の意志は無視なんすかね>おとっつぁんおっかさん)
「(人物選定で)私達の意志はそれで力尽きるだろう。その場合、サヴァイヴが侵入し、お前達を危険な目に遭わせるかもしれない」
 →赤外線反射物質散布による唐突な冬の到来や島の遺跡でアダムの両親が襲ってきたのはシステムに侵入したサヴァイヴの仕業。
 (致死性の高い悪性ウィルスナノではなく赤外線反射物質をばらまいたのは何故なんだろう)
 ……一応謎解きはされたものの、いろいろとビミョ〜な感じです。
 そもそもコンピュータネットワークが張り巡らされた世界ならともかく、こんな文明が壊滅した星で、ルナ達の漂着に気づいたり(>遺跡のパパママ)、遺跡の復活に気づいたり(>サヴァイヴ)できるもんですかね?

 そんな原始惑星にしたサヴァイヴに対する人間側の反論。
 「サヴァイヴは確かにこの星の環境を重視し、人間は必要ないと結論づけたわ。でも私達人間が生きることだってこの星の自然環境の一部のはずよ」

 告げるべきことを告げ(いろいろたくさん説明して)涙ながらに2人はアダムに手を振り姿を消すのでした……。

 アダムに両親のその後を尋ねられ困惑顔のタコに案内されて着いたのは、更に地下にある場所でした。そこには人々を収容した無数のカプセルが。眠るように横たわる両親の姿を見て、カプセルに取りすがり、心配するルナの手すら振りほどいて大泣きするアダム。
 ……それにしても、いったいどこまで地下層が広がっているんでしょうか、ここ。アダム母は「サヴァイヴから侵入されないこのちっぽけな安全エリアを造るのが精一杯だったの」とか言っとりゃしませんでしたか。ちっぽけと。
 あの場所が墓地なら、遺体保存がこの星の葬儀のしきたりなんすかねー……。それとも、埋葬できないから保存してあるんでしょうか。こんなに沢山カプセル浮かべてたらそれなりにエネルギーも食うだろうに、あの厳格そうなサヴァイヴ先生によくバレなかったもんです。
 でも明確に「死んだ」とは言ってないのが気になるところ。

 セーフティルームに戻り、「この星で生きていくには、やっぱりサヴァイヴをどうにかするしかなさそうね」と泣き疲れたアダムを膝に抱いて言うルナ。
 も、もしもーし。上記発言の主語が「アダムが」なら何ら問題ありませんが、どうも「私達が」or「私とアダムが」となってるっぽいんですけど。メノリに「まだこの星で生きていくと決めた訳ではない」ときっぱり言われてもポカンとしてるし。
 ちょっとちょっとルナさん、この星に残る気満々?
 なーんか、“みんなで帰ろうって頑張ってきたけど、シャアラとハワードも死んじゃったし、私はどうせコロニーに帰っても待ってる家族もいないんだから、文明の欠片が残ってるなら、この星でアダムと暮らすのも悪くないかな……”とでも思ってそうな雰囲気。
 先刻のアダムの両親の言葉と、改めて今肉親を失ったアダムの様子にほだされたのかもしれないけど、ルナ的にはアダムの保護者気分だとしても、両親からの要請はどう見ても「ウチの息子の嫁になってくれ」っすよ? 「アルドゥラムギェット、これからもどんな困難が立ちはだかろうとも、その人物と共にこの星で逞しく生きてくれ」とか言ってたし。そこんとこ、ルナはちゃんと判って言ってるのかなあ? ちょっと、いや、かなり心配です。「コロニーに帰る時はアダムも一緒よ?」なんて囁いてるし(そしてアダムは複雑な顔)。むしろルナがアダムから離れられないのかー?
 個人的には、アダムと離れてもらって、番組初めの頃のお気楽なルナに戻ってほしい気がしますが。アダムよ、その時が来たら、かつてパグゥにしたように笑ってルナを送り出すんだ。環境も整備されてきたし、程良く時間もたってるからきっと宇宙に逃れた同胞が帰ってくるさー。その中にキミにお似合いのヒトがいるはずだ。だからルナのことは潔く諦めてくれ。頼んだぞ。

 一方、ルナと対称的に「宇宙船の確保を」と具体的に優先事項を打ち出して、みんなの目標と意志を統一するメノリ。やっぱりこんな時アテになるのは固い信念を持ったメノリ姐だー。リーダー再逆転の時期やもしれませぬのう……。

 とりあえず、堅い話はここまで。
 ハラヘリシンゴが言いだし、一同は再びタコの案内で秘密の抜け道を通り、今度は食べ物を探せる場所へ。
 青々と広がる草むら、茂る森。雪を頂く山の上にはテラフォーミングマシン。そして呆然とアダムが指し示す方向にあるのはサヴァイヴ(を内蔵した宇宙船)……?
 いったいここはどこなのかー?
 以下来週。

 予告では、速攻で石槍だの石ナイフだの装備しているのが笑えました。そんなに黒曜石がごろごろしてんのかい。
 あと、お食事中の女子ズとシンゴアダムを守る形でベルとカオルが果物囓ってる図に萌え。いいヤツらだなあ。
 そいでもって、いよいよ、いよいよ……なのでしょうかー?
 待て次週。

 
最終更新: 2004/09/04
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