鯖の佃煮

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#47 「始めるぞ!」

 「始めるぞ」――メノリ

 隔離エリア拡大作戦敢行、偽ハワシャ逃亡の巻。

 地下エリア到着・ハワシャとの再会をさらりとリピートして本編突入。

 地上・森の中でドローンと交信中のシャアラ。彼女の額から発し、ドローンの中へと吸い込まれてゆく青白い光の粒のようなものは、これまでのデータを収めたものでしょうか。妙にうねりながら流れてゆく様子が何だか生き物っぽくて気持ち悪いです。
 「わかりました。引き続きルナを観察します」と、チャコやタコよりよっぽどロボット的な口調で応答するシャアラ。ほうほう、ルナ(個人指定)を観察することがサヴァイヴの指令だったのですな。偽シャアラは逐一操作されているのではなく、ある程度の独立性を持って動いているようです。今発現している行動パターンは元々の性格とどのぐらいの関係性があるもんですかねえ。
 その頃、同じく森の中で果物を拾っていたルナは紫発光して、ドローンの気配を察知。同行していたカオルはそんなルナの気配を感知――まったく敏感なことよの。
 シャアラとドローンの鉢合わせを危惧して慌ててシャアラを探しますが(カオルが果物を取り落として駆け出すとは思いませんでした)、藪から出てきたシャアラはむしろそんな2人の勢いに不思議顔。駆け寄るルナに身を引くシャアラ。一瞬の気まずい間がたまりません。ルナは、それとカオルはどの程度シャアラに不信感を抱いているのでしょうか……?
 ともかく早急に地下に戻ることに。
 しかし、離れた位置のドローンの気配にあれだけ鋭敏に反応したルナが、すぐそばにいるシャアラには、直接触れなければ異常を感じられないというのは、やはりシャアラの身体が覆いとなってるからなんでしょうかね。
 にしてもルナの能力はまた一段と強さを増したようです。敵地まっただ中で気を張っているからということもあるのでしょうが、前回アダムを助けるために能力を発揮したことでより力が強まったのか。使い果たしてしまうのではなく、能力が向上するあたり、ルナの力にはまだまだ余力があるようです。

 シンチャコタコが中心となって、宇宙船のセキュリティシステムを調査している隔離エリア組は、チャコといいシンゴといい、もうすっかりシステムを使いこなしているようです。のーてんきなタコがいい味を出す一方、偽ハワードは一人懸念の色を浮かべ、警戒を強めます。寡黙に目で芝居するなんて……格好いいじゃないか。
 ここでカオルナシャの3人が合流し、シンチャココンビが宇宙船の内部構造について説明します。それによると、サヴァイヴにコンタクトするためにはメインルームに行かなくてはならず、宇宙船のコントロールもすべてここでされているとの由。
 宇宙船の断面図及びネットワークシステムダイヤグラムを表示するシンゴ。宇宙船上部に位置するメインルームに対し、サヴァイヴメンツがいる隔離エリアは最底部。結構な距離があるのに加え、その間にはセンサーとドローンによる警戒網が。シンゴ曰く「各ブロックのセンサーとドローンは連携してて、センサーかドローンがキャッチした侵入者の情報は他の警備中のドローンにも伝わるんだ」。しかしチャコによると「センサーはメインシステムから独立してるんや」。侵入者程度はドローンで処理できると見なされているので、すぐに親玉サヴァイヴが出てくることはない、とのこと。
 ドローンさえ引きつけておければ、センサーは黙らせられると主張するシンゴに、どうやらそのあたりに付け込む隙がありそうだ……と考え込む一同ですが、門外漢のルナ達が首をひねる様子はいかにも無駄っぽそうです(失礼)。それを見て安堵の笑みを交わす偽ハワシャ組。
 案の定、ひらめいたのはタコでした。一見寝てるように見えたタコですが、実は皆の真似をして考えこんでいたのでした。で、そのタコが言うにはドローンには簡単なメンテナンスシステムがあり、偽の故障信号を出せばそこにドローンを呼び寄せておけるかも、とのこと。シンゴに褒められ照れるタコ、舌打ちするハワード。面白く無さそうなチャコをよそにシンゴは拳を握りしめての熱血モードです。
 が――。
 サヴァイヴをシャットダウンしてやる、と息巻くシンゴにストップをかけたのはルナでした。
 宇宙船さえ手に入ればいいのであってサヴァイヴを止める必要はないんじゃない?と言うルナ。話し合えば解り合えるかもしれない、そして、#42での出来事を思い出し、もっと話をしてみたい、と。(それはそうとして、そろそろリュックを下ろしたらどうや)
 それに対して、明らかな反論をしたのはシンゴとメノリですが、その他の面々も言葉には出さないもののサヴァイヴを黙らせることに賛成の様子。
 意見の相違が明らかになったところで、更に、第三勢力として偽シャアラと偽ハワードがルナに賛成票を投じます。そりゃサヴァイヴの手下としてはサヴァイヴシャットダウンに傾きそうなこの流れは看過できませんわな。シャアラはさておき、常と異なるハワードの言動は皆の注目を集めますが、それを意に介する偽ハワードではありません。正でも偽でもいつでもゴーイングマイウェイ。さすがです。
 とりあえず、まずはサヴァイヴとコンタクトするためにメインルームに辿り着くのが先決、とメノリが場をまとめ、作戦会議に入りますが、やっぱり憂い顔のルナ。
 先行発表されている予告タイトルから見て、コロニー帰還を最優先させている他のメンツと違って、どうもルナはこの星の先のことが頭から離れない様子です。何が彼女をそうさせるのでしょうか。やはりアダムの存在が? 物語序盤の頃に考えていたような野生動物のみが棲まう星なら、このまま人間不必要論者のサヴァイヴがこの惑星を仕切っていたところで何ら問題はない訳だし。あとは惑星開発技師を志す者として、環境と人間についての問題意識から、人間不要との判断を下したサヴァイヴにもっと詳しく話を聞きたい……とかですかねえ。それともアダムの親に送り込まれたナノマシンが何か作用を?(それは嫌だなあ)
 しかし、ルナの言う話し合いで解り合う云々は論外としても(でしょう、やはり)、事情はどうあれ、よその星の環境制御を統括しているコンピュータを個人的な理由から停止させることに何のためらいも感じていないようなお子様たちもちょっと問題アリだと思うんで……。何せ、今のシンゴの鼻息からいうと破壊も辞さぬ勢いだし。
 タコですらサヴァイヴシャットダウンに全面同意しているようなのが驚きですが、停止させた後のこと考えてるんでしょうか?>ALL まさかそのまま宇宙船ぶんどってドロンって訳にもいかないと思うんですが。
 ……そういや、この星の当事者といえばこれ以上の人物はいないアダムですが、台詞が全然ありませんよ? どーこー行ったー?

 さて、いかなる打ち合わせがあったかは謎ですが、工作班のシンチャコ、連絡係のルナ、万が一の戦闘要員のカオル、と都合3人と1匹がリフトで上へあがることに。
 何だかんだいって行動的な役割を受け持つことになるルナ、さっきのやりとりは自分の中でどう納得させたんですかね。とにかく自分の仲間とこれからのことについてもっと具体的に話し合った方がいいと思います。流れ流れて遥か大陸はメインコンピュータの元までやって来ましたが、最終的に何を目的にどのような手段をとるか、きちんと確認しておくべきかと。でないと、肝心な時に思わぬ齟齬をきたさぬとも限らないし。
 で、話は隔離エリア拡大作戦な訳ですが。
 手順としては、1.実行班が位置についたところで、2.ルナがアダムに合図を送り、3.それを受けてタコが偽の故障信号を送信、4.ドローンがおびき出されている間にネットワークノードに取りついたシンチャコがセンサー切り替え作業を行い、5.タコのもとに作業完了の信号を送って全工程終了、以下場所を変えてその繰り返し。ただし切り替え作業が終了するまで、センサー自体は生きているので異常を知らされたドローンが戻ってくるまでの間にすべて完了させなければなりません。場所を変えるごとにいちいちドローンに発見される危険を冒さなければならない訳で、サヴァイヴに直結もしてないようだし、セキュリティネットワークに侵入して一気にシステムを制圧する方法はないもんですかね。規模が大きいのでさすがのチャコにも手に余るか。
 初めはもたついていた工作班ですが、次第に慣れてきたのか、メインルームに向かってどんどん侵攻してゆきます。それを見て焦りを隠せないハワシャ組。今回、裏ストーリーとして2人のアイコンタクト多いです。表情一つで意志を通じ合わせる2人。微妙にときめいちゃったりして。
 ついに妨害工作に出る偽ハワシャ組。A1ブロックに変な反応があったと言うシャアラ。それを理由に、様子を見に行くと部屋を出たハワードは、背後に隠した手をネットワークノードに接触させます。その右手が青色に発光するやいなや、サヴァイヴのもとにルナ達の映像が。ドローンを向かわせるサヴァイヴ。
 場面変わって、作業中のルナ達。楽天的なシンゴですが、ルナ紫発光して「来るわ」。
 その言葉を質す間もなく現れいでるドローン。
 ……が。次の瞬間でした。鉄パイプ振り回してドローンを襲撃するカオル。ジャンプ一発、脳天かち割りです。ねえ、ここって笑うとこ? シンチャコルナがスルー気味だったのは、むしろ人外な動きをするカオルに呆れていたのだと思いたい……。
 が、またもルナ「また来るわ」
 さすがに3機のドローンが相手では撤退を余儀なくされるルナ達。一旦は物陰に隠れてドローンをやり過ごしますが、シンゴの「センサーは機能してないからドローンさえやり過ごせば大丈夫さ」という言葉がサヴァイヴに聞こえたかのように(聞いてたんだろうな)、殺したはずのセンサーが次々と復活してゆきます。地下の隔離ルームでは制圧したはずのブロックが瞬く間に奪回されてゆく様子が映し出され、驚きの声を上げるメノリ達。(今回は存在感極薄だ……>ベル)
 そして、ルナを心配する一心でこちらも能力が拡大されたか、ドローンを感知するアダム。脳内通信で、目前の危険をルナに伝えます。正面からくるドローンについに赤色発光、制動をかけるルナ。その力はサヴァイヴすら驚愕させます。
 で。
 そろそろ学習しましょう。カオル相手にドローンの単独行動は危険です。(普通は逆) 軽々とルナの頭上を飛び越え、必殺の一撃を食らわせるカオル。コツを掴みましたかねー。1機目より軽い力で倒してたような気がするんですが。
 しかし、「ありがとう、アダム」と距離を隔てながらもそれぞれ紫発光・緑発光してしっとりと気持ちを伝え合うルナアダ母子、「さあ行くぞ」とさくさく動くカオルと、ものすごく対称的です。
 ……や、カオルもいちいち礼を言われたくはないだろうけど(戦闘能力の差は明々白々だし、戦闘時のリーダーはカオルだし)、笑えるほどに対称的なのがなんつーか……まあ、彼らがそれでいいなら何も問題はないんですがー。それとも、アダムはまだ子供で、それプラス、コロニー漂流組にとってはお客様だから、かえってお礼を言われてしまうのかなー。

 ダストシュート経由で何とか隔離エリアまで辿り着いたルナ達の話を聞き、急遽シンチャコタコはシステムの再チェック、その他の人員は武器を探すことに。
 不審な通信記録を見つけたタコは、発信元からあっさりハワードの犯行を突き止めてしまいます。逆探知を気にしていたカオシンチャコタコに比べ、まったく無頓着で馬脚をあらわした偽ハワード。このあたり、元々の知識の差ですかねえ。
 皆と離れたところに呼び出されたルナはシンチャコから、ハワシャ組がサヴァイヴと通じている疑い濃厚なことを告げられます。……この時、シンチャコが選んだのがメノリかカオルだったら、また話は大きく変わってたんでしょうが。
 「おかしいと思ったんだ」って随分とクールじゃないか、シンゴよ。まさかと言いかけて、花を踏みつけて気にも止めないシャアラを思い出すルナ……。

 武器になりそうなものを探して何やら漁っている一同の前に現れたシンゴ、隔離エリアからサヴァイヴにコンタクトできるプログラムユニットを見つけた、と発表します。が、その前に腹ごしらえを、と言うチャコ。事情を知る視聴者には見え見えの罠でございます。果たして、まんまと奸計(違)に落ちたシャアラは、皆と離れて有りもしないプログラムユニットを探しているところをルナに踏み込まれます。悲鳴のような声でハワードを呼ぶシャアラ。う、萌え。いやいやいやいや。
 シャアラからの通信を受け、ダッとばかりに駆け出すハワード。……なのですが、特殊能力持ちのそれぞれの発光色って、ルナ―紫、アダム―緑、サヴァイヴ系列―青と思ってたんですが、この時のハワードさん、緑発色してるように見えますが……? 気のせい?
 それはともかく、シャアラの元に駆けつけたハワード、力ずくでシャアラからルナを引き剥がすやいなや、床に転がるルナには目もくれずシャアラを連れてリフトへと逃れ――上昇。
 あ、あれれれれ?
 どこかで絶対2人の正体を知ったその他メンツの制止が入ると思ってたんですがー、そのまま逃亡……しちゃうんですかい? あれだけ意味深にシンチャコがハワードの挙動を見守っていたのに? ええええー。こんなに簡単に2人の正体がバレたのもビックリなら、こんなに簡単に逃してしまうのも驚きです。あっさり風味にもほどがあらぁ。
 などという視聴者の混乱をよそに、第47話終了、そして流れる次回予告によって一層混迷は深まるのでした。
 しかも次週1週休み。あんまりだー。

 けどなー、ホントに終盤にもう一声欲しい回でした。
 シンゴ「信じたくないけど、あのハワードは偽者なんだ」とか、ルナ「私が確かめるから、お願い、まだみんなには黙っていて」とか、或いは真実を知ったみんなの反応とか。なんかあればこの拍子抜け感を打破できるように思うんですが。
 2人が実は偽者で……という騒動は次回まわしなのかな。内心訝っていた人、騙されて怒る人、全然疑いもせず吃驚仰天な人、いろいろありそうですが。

 小ネタ。
 ダストシュート突入で鉄パイプ横に持ってたら入口でつっかえるんじゃねーの?カオルたん、とか。
 そろそろルナ以外も心配しようよアダム君、とか。
 ケンカしてるチャコタココンビがえらい可愛い、とか。
 偽者コンビに罠を仕掛けるくだり、チャコに呆れるメノリ様の眉毛がラブリー・でも実質道化状態で悲しい、とか。
 今回のベルは立て看板でもきっとバレなかったと思うぞ、とか。

 ……ひとつ疑問に思ったんですが、彼らがかっぱらおうとしている宇宙船の規模ってどのくらいなんでしょうか。あの平べったいエイみたいな図のアタマからシッポまで全部がゴゴゴゴと飛び上がるんでしょうか。それって、すげー大仰なことになりそうなんですけど。一部分だけちょこっと分離させるってことはできないのかな。もしくは別に小型艇みたいなものが搭載されているとか。しかし、もし奪取成功したとしても、やっぱりあの摩訶不思議タッチパネル方式なんすかね? カオル、飛ばせるんか……? まさかの墜落エンドはシャレにならないっすよー。

 
最終更新: 2004/10/03
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